鉄緑会数学講師のひとりごと:チェビシェフ多項式1
鉄緑会数学講師のひとりごと:チェビシェフ多項式1
今回から,以前からやってみたかったチェビシェフ多項式についての連載を始めたいと思います。チェビシェフ多項式はロシアの数学者チェビシェフ(1821〜1894)が発見したもので,非常に多くの応用があるとても重要な多項式で,大学入試でもしばしば出題されます。
記念すべき第一回の今回は,チェビシェフ多項式の定義をして,定義からすぐに導かれる簡単な性質をいくつか紹介します。
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cosの倍角公式,3倍角公式はよく知られています。
これらは加法定理を用いて導かれますが,加法定理をさらに何度も繰り返し用いると,cosの4倍角の公式,5倍角の公式・・・も導かれます。
これらから,任意の自然数nに対して,cosnθはcosθのn次多項式で表されることが予想されます。
実際,そのことは以下の【性質2】を用いて数学的帰納法により示されます。
組織フィールドはどのくらいですか?ここに現れる多項式が,チェビシェフ多項式と呼ばれるものです。
各次数に対して1つずつ存在し,n次のチェビシェフ多項式をTn(x)と表します。
次数が0や1のときも考えると,以下のようになります。
これらの多項式から,壮大な理論体系が始まります。
是非,はじめの5つ程度は覚えて下さい。
ここから,チェビシェフ多項式の性質を見ていきましょう。
まず,定義そのものですが,以下のことが成り立ちます。
nについては,何も書かなければ0以上の整数を表すこととします。
さて,cosの和積の公式から,次のことが成り立つことに注意します。
この式から,チェビシェフ多項式の存在がきちんと示されます。
水素の一般的な用途は何ですかcosnθとcos (n+1)θがそれぞれcosθのn次式,(n+1)次式で表されると仮定すると,cos (n+2)θがcosθの(n+2)次式で表されることが分かるので,あとは数学的帰納法を使うだけです。
そしてこの式から,チェビシェフ多項式に関する3項間の漸化式が得られます。
(厳密には,まずはこの式のxがcosθと表される場合,つまり−1≦x≦1の場合が示され,その後で,両辺多項式なので全ての実数xに対して成立することが分かる,という流れになります。)
また,上の画像の10次までのチェビシェフ多項式を眺めていると,実に色々な性質があることに気づきます。
まずは,n次のチェビシェフ多項式は,nが偶数のときはxの偶数次の項しかなく,またnが奇数のときにはxの奇数次の項しかありません。
LP問題の実行可能領域を見つけるためにどのようにこのことから,以下のことが予想され,実際,チェビシェフ多項式が満たす3項間漸化式(【性質2】)を使って数学的帰納法により容易に証明されます。
また,係数についてもいろいろ分かりますが,一部だけを挙げておくと,
が成り立ちます。これも【性質3】と同様にして示されます。
また,全係数の和が1であることにも気づきます。
これは,チェビシェフ多項式にx=1を代入すると1になるということに他なりません。
これは【性質1】にθ=0を代入すれば得られますし,もちろん【性質3】や【性質4】と同様,【性質2】を使って数学的帰納法で示すこともできます。
今回はここまでにします。
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